
いつかのバイトの休憩時間に、「昔空気たべたよねー」と聞こえてきた。休憩室にいたつもりがいつのまにやらファンタジーな世界に入ってしまったのかと振り返った。そこには、エルフ…ではなく、人間がちゃんといた。そりゃそうだ。「空気を食べるってなに?」と聞くと、「空気を食べるんです。え、やったことないんですか?」と逆に不思議がられた。おや?やっぱりファンタジー始まってた?食べたことないし何言ってるかわからないと答えると、「小学校の帰りとかによくやってましたよ、こうやって」といって、エアでやって見せてくれた。なるほど、確かに空気を食っている動きはしているが、それはなんなのだ。「どういう時にするの?」「暇な時とか、お腹空いた時とか。」「それでおなかいっぱいにならないよね?」「はい、けど食べてました。たのしくないですか?」私がおかしいのか?ナウでヤングなイマドキキッズに流行ってるの??私が知ってる世界なんてたかが知れてるんだわと自分を納得させてバイトに戻った。
なぜ今この話を思い出したかというと、我が子が同じこと言い出したから。上記の通り、私は一切こんなこと言わないし思いつかない。当然、子育ての中でこんなミラクルワードが出てくるはずもない。にも関わらず、息子と2人で歩いてる時に同じ動きをしたのだ。何してるか聞くと「くうきをたべてる」というではないか。楽しい?と聞くとうんと答える。もしかして義務教育に含まれてた?くじらぐもにそんな描写があったっけ?私がたまたま風邪で休んだ日に授業あった?理科?体育?食育??失礼な話だが、前出のバイト仲間は何かしらの事情でごはんを充分に食べられなかったのかもしれないなどと自分を納得させる設定を添えていたがそうではなさそうだ。息子はめちゃくちゃ食べる。この先、中高生になったらどんだけごはん炊かなければいけないんだと寒気がするほど食べる。これで充分に食べさせてもらってないなんて言われたら私がグレてやる。
「ママもやってみたら?」なるほど、冬の空気はアラフォーにはちと冷たいようだ。

