穏やかな初春の昼下がり。
すっぱいオレンジをほじくりたおしてゼラチンで動きを封じ冷蔵庫で放置プレイ。すかさず剥ぎ取ったガワを雑に包んでダンク。
私は脳内麻薬に酔いながら用を足しに向かった。
するとドアの前に白い紙の断片がちらほら。
開くと隠滅し損ねたティッシュの残骸と拭き残し。
直前に使ったのは3歳の息子。
「まるお、漏らしたの?」
「うん!おく、しーしーして、ふいた!(ドヤ顔)」
うーん、まぁいいだろう。
自分で尻拭い(ややこしいな)出来たなら報告しなくてもいいし、自分で手の届くところは概ね拭いているようだし。未報告&未処理の頃に比べれば成長してるし、拭き残しは見逃してやるか。
拭きあげついでに掃除もしてやろう。
普段見落としがちなウォシュレットのノズルまでやっちゃうぞ!
あ、黒ずみ発見。
しゃーねーなぁ。
ドメストでトドメ刺してやる!(陳謝)
じゃあもう流せるトイレシート流していいね。
ジャー…
なみなみなみ……⁉︎
スイー…クルー
詰まっとる!!!
ドッキリだよね⁉︎これ、あれだよね?一瞬ヒヤッとするけど、落ち着いて待てばスーって流れて行くやつだよね‼︎⁉︎だれかそう言ってーーーーー!!!(錯乱)
流れない…
お祈り空しく解された白い紙どもが嘲笑ってやがる。
よかろう。全面戦争だ。
行け!スッポン部隊!
何⁉︎帰省中⁉︎
ふざけるな!
トイレブラシ先輩は、たとえ存在を忘れられようともホコリを被ろうとも泣き言ひとつ言わずに、じっと前線で耐えていらしゃるんだぞ!
もういい!
新人スカウトに行くぞ!(補欠のいない部隊って…)
かくして私は最寄りの100均ショップへ向かった。事前に調べたところお店ごとにサイズは異なるものの大抵どこにでも置いてあるようだった。サイズなんてなんでもいい。向かう店にもきっとあるだろう。
ない
ありそうな場所に置いてない。大抵のものはまた今度でいいか、となるが今はそうもいってられない。なぜなら、私はずっと我慢しているのだ!ずーっと呼び鈴が鳴っているのだ!コロナ禍なのに申し訳なかったが店員さんを捕まえて在庫確認してもらった。
ない
春だから?みんな春になると陽気になって詰まらせちゃうの⁉︎流行ってるの⁉︎
なんて悠長なことは言ってられない。店員さんにお礼を言ってチャリンコを解錠しながら最短距離でスッポンを置いてそうな店を脳内検索し、自分に振動を与えないように、しかし迅速にこぎ急いだ。
そうだ、あそこの大手スーパーに行こう。日用品も売ってるし、店舗内に100均ショップもある。どちらかにはあるだろう。
あった!
安心して緩みそうなのを締め直し、急いで帰路に着く。
しかし、ここからが本番だ。
もし、これで解決しない場合、修繕費1、2万円かかるらしいのだ。そんなことあってたまるか!それだけあったらどれだけビール呑めると思ってるんだ!
なんとしてでも開通させなければならない。
ゆっくり水に沈め、押し込み、一気に引き抜く!
するとふやけてほぼ液体のティッシュどもが
スイー…
もう一回!
スイー…
…ベッコンってならないの?
押し込むたびに水が減っていくのはいいけど、ベッコンってならないの?下手なの?不良品なの?使っちゃったからもう返品もできないよ?ってか、流れてない?なんならいつもの水位より下がってるよね?流すよ?水、少しだけ流してみるよ?
流れた!!!(レゲエホーン)
長い闘いは終わった。我々はもう家に帰れるのだ!(誰だよ)
すっきりしたと同時にどっと疲れが押し寄せた。想定外のイベントと予定外の外出で夕飯を用意するHPを使ってしまったのだ。
私は栄養剤(リンドール)を補給して息子と仮眠を取った。
今回、学んだことは、スッポンはラバーカップと呼ばれるそうです。ひとつ賢くなりました。
結局、何が詰まってたんでしょうね?